矯正とホワイトニングの関係

矯正とホワイトニングは、どちらも口元の美しさを追求する歯科治療ですが、その関係性にはいくつかのポイントがあります。

1. どちらを先に行うべきか？

一般的には、歯列矯正を先に行い、その後にホワイトニングをする方が良いとされています。これにはいくつかの理由があります。

• ホワイトニングのムラを防げる: 歯並びが整っていない状態でホワイトニングを行うと、歯が重なっている部分などにホワイトニング剤が届きにくく、色ムラが生じる可能性があります。矯正後に歯並びが整えば、歯全体に均一に薬剤が行き渡り、より美しい仕上がりが期待できます。
• ホワイトニング効果の持続: 矯正治療中に歯の白さが落ちてしまうことがあるため、矯正後にホワイトニングを行う方が効果が長持ちすると考えられます。
• 治療の効率化: 歯並びが整うことで、新たな虫歯などが見つかることもあります。先に矯正治療を終えることで、治療を二度手間にせずスムーズに進められます。

ただし、矯正前や矯正中にホワイトニングを全く行えないわけではありません。特に歯の黄ばみが気になる場合は、矯正前に一度ホワイトニングをして歯の色を明るくしておくことで、矯正中のモチベーション維持にも繋がるという意見もあります。この場合も、最終的には矯正後に再度ホワイトニングを検討することが多いです。

2. 矯正中のホワイトニングは可能か？

矯正治療の種類によって、矯正中のホワイトニングの可否や注意点が異なります。

• ワイヤー矯正（表側矯正）: 歯の表面にブラケットとワイヤーが付いているため、ホワイトニング剤が均一に塗布できず、色ムラが生じる可能性が高いです。そのため、基本的には矯正中のホワイトニングは難しいとされています。
• ワイヤー矯正（裏側矯正・舌側矯正）: 矯正装置が歯の裏側にあるため、表側からホワイトニングを行うことは可能です。
• マウスピース矯正（インビザラインなど）: マウスピースは取り外しが可能なため、矯正治療と並行してホワイトニングを行うことが比較的容易です。矯正用のマウスピースをホワイトニングにも兼用できる場合もあり、時間や費用の節約になるメリットもあります。ただし、アタッチメント（歯に直接付ける小さな突起）がある場合、その部分に色ムラが生じる可能性があるので注意が必要です。

共通の注意点:

• 矯正中は歯や歯茎が敏感になっていることがあり、ホワイトニングによって知覚過敏が起こりやすくなる可能性があります。痛みを感じる場合は、歯科医師に相談し、治療を一時中断するなど適切な対応が必要です。
• 矯正装置がホワイトニング剤や光照射器に悪影響を与える可能性もゼロではないため、必ず歯科医師に相談し、指示に従うことが重要です。

3. 矯正後のホワイトニング

矯正治療が完了し、リテーナー（保定装置）装着期間に入ってからホワイトニングを行うことは、非常に理想的なタイミングと言えます。

• 整った歯並びに均一な白さ: 歯並びが美しく整っているため、ホワイトニング剤が歯全体にムラなく作用し、最大限の効果を発揮できます。
• リテーナー装着中でも可能: 取り外し可能なリテーナーであれば、ホワイトニング時に外すことができます。固定式のリテーナーも歯の裏側に装着されるため、表側のホワイトニングに支障はありません。

まとめ

矯正とホワイトニングは、それぞれ異なる目的を持つ歯科治療ですが、組み合わせることでより美しい口元を実現できます。理想的な順番は「矯正後にホワイトニング」ですが、矯正の種類や個人の希望によっては、矯正前や矯正中にホワイトニングを検討することも可能です。いずれの場合も、必ず歯科医師に相談し、自身の口腔状態や矯正計画に合った最適な方法を選択することが重要です。