歯を大切に!シリーズ⑧「親知らず」について

投稿日:2024年04月19日
最終更新日:2024年04月20日

親知らず

セルフホワイトニングに興味がある皆さんと一緒に歯について学ぶシリーズ、第8回目のテーマは「親知らず」です。 奥歯の一番奥にある親知らず。
痛みや違和感がなければ、全く気にならない存在ではないでしょうか。
不要だからと抜いてしまうのはいささか乱暴な話ですが、何もせずに放っておくのも気がかりです。
生え方が真っ直ぐで、隣り合う歯に影響がない場合は、将来的にその部分を補うためのブリッジや入れ歯の土台に利用できるそうなので、現状維持も選択肢のひとつなのだとか。
まずは親知らずを知ることから始めましょう。

目次

口腔ケアの重要性

親知らずとは、大人の奥歯の中で最も後ろに位置する歯であり、第三大臼歯が正式な名称で、智歯と呼ばれることもあります。
前歯から数えて8番目にあり、永久歯の中で一番最後に発育する歯です。
永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずが生える時期は10代後半〜20代前半。
親が知らないうちに生えてくる歯であることが名前の由来ともいわれています。
一般的には上あごの左右2本と下あごの左右2本の計4本ですが、親知らずのない人や、必ずしも4本が揃っていない人などもいて、個人差があります。
上の親知らずの方が比較的真っすぐに生える方が多く、約8割が正常な状態。
一方で、下の親知らずは歯茎に埋まったままの状態になる方が多く、生える場所の不足でまだ埋まったままだったり、たとえ生えても、斜めになっていたり、歯冠部分のみが見えていたりと、抜いた方がよいケースは約7〜8割にものぼるのだそうです。
親知らずが生えてくる時、虫歯ではないのに痛む原因は、歯ぐきを押し上げ、押し開きながら出てくるから。
そして、下からの圧迫で痛んでいる歯ぐきに、向かい合ったかみ合わせの位置の歯があたり、より歯肉が刺激され、痛みが増してしまうのです。

智歯周囲炎

親知らずのまわりにたまった汚れが原因で細菌に感染し、それに伴い歯肉が炎症をおこすことを智歯周囲炎といいます。
周囲の軟組織や顎骨というあごの骨に広がると、顔が腫れたり、口が開きにくくなったり、痛むようになります。
この状態になってしまった場合、抗菌薬や消炎鎮痛薬を投与して炎症を鎮めた後、歯肉弁を切除する治療を行います。

現代人は顎が小さいためスペースが足りず、親知らずが真っ直ぐに生えるのは難しいのだとか。
生える方向が悪くまわりの歯に悪影響、または炎症をくり返す場合は、抜歯をすることになってしまうかもしれません。

親知らずは抜く?抜かない?

【抜いた方がいい場合】

❶親知らずや、その手前の歯がむし歯になってしまった場合
…親知らずは一番奥の歯なので治療器具が届きにくく、その後のケアも困難です。
隣の歯がむし歯になってしまった場合は、親知らずを抜いた後、むし歯が悪化しないように処置する必要があります。
❷親知らずが横向きに埋まっていて、前方の歯に障害を及ぼしている場合
…親知らずが横向きに埋まっていると、智歯周囲炎や手前の歯の根が溶かされるように浸食されてしまうことがあります。
これが原因で将来的に手前の歯を失うと、奥歯のかみ合わせが不十分となり、入れ歯やインプラント等の治療が必要になります。
その時のリスクを考え、健康な親知らずなら、抜かずに温存するという選択も考えられます。
❸常に食べ物がつまったり、歯肉の腫れや痛みを繰り返す場合
…親知らずが中途半端に生えていて、歯の一部だけが見えている状態では、食べ物が詰まりやすく、不潔となり、周囲の歯肉が炎症を起こしやすくなってしまいます。
❹骨の中に完全に埋まっておりX線写真で袋のような影がみられる場合
…このような状態を含歯性嚢胞といいます。
病いが進行すると、あごの中の神経を圧迫し、膿の袋を作り、患部に痛みや腫れが生じます。
❺歯並びに悪影響を及ぼす場合

【抜かなくていい場合】

❶ 親知らずが上下で正しくかみ合っている
❷顎の中に完全に埋まっており問題がない
❸ 入れ歯やブリッジの土台として必要
❹移植
…奥歯を抜かなければならなくなった時、その部位に親知らずを移植できます。
しかし、移植する位置とそこに必要な歯の形や大きさが合致する場合のみ可能な方法となります。
❺ 矯正治療
親知らずの生える場所が十分にあり、かみ合う位置の親知らずも正常に生えている時、生え方を誘導することができます。

最後に

普段はあまり意識していない親知らずですが、状態には個人差があることがわかりました。
親知らずについて疑問や違和感を感じた方は、かかりつけか最寄りの歯科医院で相談してみましょう。
日頃から自分の歯の状態を知り、予防ができれば、どんな時も慌てることはありません。

美しい口元は健康から!
口腔環境を整えて、歯の白さをより楽しんでいただきたいと思います。


この記事は歯科医師が監修しております
歯科医師 岡本恵衣
ホワイトニングバー専属歯科医師 岡本恵衣
経歴
2012年 松本歯科大学歯学部卒業
2013年 医療法人スワン会スワン歯科にて臨床研修
2014年 医療法人恵翔会なかやま歯科
2020年 WhiteningBAR(株式会社ピベルダ)