歯を大切に!シリーズ16「マウスピース」について
投稿日:2025年06月28日
最終更新日:2025年06月29日

セルフホワイトニングに興味がある皆さんと一緒に歯について学ぶシリーズ、第16回目のテーマは「マウスピース」です。
睡眠時の歯軋りや噛み締め対策、スポーツ時の負荷に対する保護、歯科矯正の種類のひとつとしてなど、様々な場面で利用しているマウスピース。実はホワイトニングの種類にもマウスピースタイプのものがあります。今回は、マウスピースについてのあれこれを掘り下げていきます。
—目次
- マウスピースとは
- 素材の種類
- 用途別マウスピース
- 最後に
1. マウスピースとは
マウスピースは、上顎にはめるシングルタイプと、上下の歯で噛むようにするダブルタイプがあります。そして、市販品と歯科医院で作成するオーダーメイドの2種類があり、値段、装着感、用途で選ぶことができます。
薬局やネットなどで手に入るセルフタイプのマウスピースは、歯科医院に行かなくても手軽に手に入る点がメリットです。沸騰させたお湯(80℃以上)で既成の樹脂プレートをあたため、歯にはめて噛み込んで成形します。安いものなら1,000円以下で手に入りますから、比較的安価であることも魅力です。しかし、人間の噛み合わせは非常に繊細で、少しのズレでも歯や顎に大きな負担を与えるため、使用することが逆効果になってしまうリスクも潜みますから、使用には注意が必要かもしれません。手軽に始められる利点はありますが、自分の感覚で成形するため、微調整ができないこともデメリットといえるでしょう。
歯科医院でオーダーメイドするマウスピースは、各自の噛み合わせにぴったりとマッチした品を作れますから、安心して使用することができます。アメリカンフットボールの選手を始め、アイスホッケーやラグビーなどのコンタクトスポーツ以外の競技でも、オーダー品を使用する選手が増えているようです。歯にかかる瞬間的な負荷を軽減できることは証明されていますから、筋力を必要とするスポーツには必需品といえるでしょう。最近はデザインや色を選べることが増え、ファッションの意味でもオーダーメイドが選ばれているとのこと。値段は、用途や耐久性やデザイン等で様々ですが、安ければ一万円以下で作ることができるようです。
—2. 素材の種類
◉ゴム
ソフトタイプのマウスピースは、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を保護するために使用される、睡眠時専用のマウスピースにむいています。ソフトタイプは軽い着用感なのでつけやすいのですが、柔らかいゴム製のため、耐久性に欠けるデメリットがあります。しかし、一定の硬さを保ちつつも歯より柔らかい素材のため、歯ぎしりや食いしばりから優しく歯を守りますから、長期的な使用には適しています。人によっては、柔らかいマウスピースをつけて寝ると食いしばりの力を増大させてしまうケースもあるようですが、マウスピースについた傷の位置で、歯ぎしりや食いしばりの有無や、箇所を把握できることは、メリットと言えるでしょう。
◉レジン
ハードタイプのマウスピースは、レジンという硬い樹脂素材で作られています。ソフトタイプに比べると装着時の違和感がありますが、素材が削れたり穴があくなどのトラブルは少ないようです。硬く、耐久性にも優れているため、コンタクトスポーツ時の歯を守る役割に適している素材だと考えられています。吸水性がある素材なので乾燥に弱く、変形や割れを防ぐため、保管方法には注意が必要です。使っていない時は水に漬けておくことで劣化を防ぎ、持ち歩く場合には濡れたティッシュや布でくるんでおくとよいでしょう。
—3. 用途別マウスピース
●ナイトガードマウスピース
朝起きた時に顎の疲労を感じる、虫歯ではないのに歯が痛い場合、睡眠時の歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。それらから歯や顎を保護するために使用されるナイトガードマウスピースは、歯のすり減り防止・歯や歯根の破折防止・セラミッククラウンなどの破損脱離の防止・歯の位置の保定・顎関節の負担軽減、など、様々なトラブルを回避するためのマウスピースです。ソフトタイプ、ハードタイプ、どちらの利用も可能ですが、長期間装着する必要があること、装着時の違和感が少ないことから、ソフトタイプを選ばれる場合が多いようです。
●スポーツ用マウスピース
スポーツ時のマウスピースは、マウスガードやガムシールドとも呼ばれています。ボクシングのパンチや、コンタクトのある競技の瞬間的衝撃から歯を保護し、自分自身や相手を傷つけることを防ぎ、振動を軽減するために必要な器具です。頭・顎・首の筋肉が固定されるので、衝突時の脳への衝撃を緩和でき、脳震盪の発生も減らすことができます。また、歯と歯を十分に噛み締め合えれば力を込められますから、普段以上の筋力を発揮することが可能ですし、バランス感覚などの機能向上も期待できます。
—4. 最後に
特に激しい接触を伴うことで有名なアメリカンフットボールは、マウスピースの着用が義務付けられているとのこと。現役選手を対象としたある調査では、マウスピースを着用することで、口や顎のケガの発生率が60%から5%以下にまで低減したそうです。
美しい口元は健康から!口腔環境を整えて、歯の白さをより楽しんでいただきたいと思います。
歯科医師 岡本恵衣

経歴
2012年:松本歯科大学歯学部を卒業
2013年:医療法人スワン会スワン歯科で研修
2014年:医療法人恵翔会なかやま歯科に勤務
2020年:WhiteningBAR(株式会社ピベルダ)に勤務






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